技能実習責任者とは?
実習生を指導し、労働環境を整備するだけでなく、
安全管理や生活面でもサポートが必要な責任者
こんにちわ。ワールドビジョン協同組合の伊藤です。今回は「技能実習責任者」について説明したいと思います。
まず、技能実習制度において、受け入れ企業は必ず事業所ごとに技能実習責任者を選任する必要があります。技能実習責任者は、実習生を指導し、適切な労働環境を提供する責任を持つ人物です。
以下では技能実習責任者の役割や選任の要件など詳しく解説しますので初めての方も、またすでに受入れを行っている方も一度目を通していただけると幸いです。
技能実習責任者とは?
先ほど記述させていただいた通り技能実習責任者とは、実習生を指導し、適切な労働環境を提供する責任を持つ人物です。技能実習責任者に求められる能力としては、まず実習生の技能や業務内容に関する知識が必要です。また、言葉の壁がある場合には、実習生と円滑にコミュニケーションを取るために、外国語や異文化に関する知識や経験が望まれます。
さらに、技能実習責任者は実習生の安全管理や労働環境の整備なども担当します。特に、実習生は日本の労働環境に慣れていないため、安全管理には細心の注意が必要です。そのため、技能実習責任者は安全管理のためのルールや手順を確立し、実習生に徹底的に指導することが求められます。
最後に、技能実習責任者は実習生の生活面でもサポートが必要です。実習生は日本の生活慣習や文化に慣れていないことが多いため、生活面でのトラブルや問題が発生することもあります。技能実習責任者は、実習生が適切な生活環境を確保し、ストレスを感じずに実習に取り組めるよう支援することが大切です。
技能実習責任者の役割
技能実習生の指導・監督・管理を行う技能実習責任者は以下の役割があります。
01. 技能実習生の受け入れ前の確認
技能実習生を受け入れる前に、監理団体から提供される技能実習生の情報を確認し、技能実習生の能力や希望する技能実習内容を把握することが重要です。
02. 技能実習生の指導・監督
技能実習責任者は、技能実習生の指導・監督を行うことが求められます。技能実習生の技能向上や職場でのマナー・ルールを教育し、適切な指導を行い、技能実習生が職場での安全な労働を行えるように支援します。
03. 経過報告の提出
技能実習責任者は、技能実習生の経過報告を監理団体に提出することが求められます。経過報告には、技能実習生の技能向上状況や健康状態、労働環境の改善状況などが含まれます。
04. 監査対応
技能実習責任者は、監理団体の監査に協力し、監査に基づく指導・改善に努めることが求められます。
05. 問題解決の支援
技能実習生に問題が生じた場合には、技能実習責任者が技能実習生と直接話し合い、解決に向けた支援を行います。また、必要に応じて監理団体や関係機関との調整を行い、問題解決に努めます。
技能実習責任者になるための要件は?
では、上記の役割がある技能実習責任者になるための要件は何があるのでしょうか?
- 20歳以上であること
- 事業所が法人である場合は常勤の役員、または従業員であること
- 過去3年以内に厚生労働省が定める「技能実習責任者講習」を修了していること
- 相応の知識・経験を有し、技能実習生を適切に指導・監督できること
- 実習生の面倒を見るために、必要な時間を確保できること
以上がおおよその要件となります。
では、技能実習責任者としての欠格事由は何があるのでしょうか?
技能実習責任者としての欠格事由
技能実習責任者として選任できない欠格事由は以下の通りです。
- 精神障害や精神疾患を患っている
- 前科・犯罪歴がある
- 業務に関する刑事罰を受けたことがある
- 安全衛生法に違反したことがある
- 労働法に違反したことがある
- 労働災害を起こしたことがある
- 悪質な借入金や債務を抱えている
- その他法令で定められた欠格事由に該当する
技能実習責任者講習について
技能実習責任者の選任要件にもあった「技能実習責任者講習」について解説します。
①技能実習責任者講習とは?
技能実習責任者講習とは技能実習責任者が実習生の指導や保護に必要な知識や能力を習得するために実施されます。
講習は、厚生労働省が指定する民間教育機関や公的機関が開催しており、講習内容は、技能実習制度の概要や法的なルール、実習生の保護や指導方法、安全衛生管理などが含まれます。講習修了後には、修了証明書が発行されます。
なお、講習は定期的に実施されており、技能実習責任者は3年毎に再受講する必要があります。
②技能実習責任者講習内容は?
技能実習責任者講習では以下の内容を学習します。
- 技能実習制度の概要
- 技能実習責任者の役割と責任
- 法的なルールや規定に関する知識
- 実習生の保護や指導方法に関する知識
- 安全衛生管理に関する知識
- 人権尊重や差別・いじめ防止に関する知識
- 緊急時の対応方法に関する知識
講習は、1日(おおよそ8時間)で実施されることが一般的で、実習責任者が実習生を指導するために必要な知識や技能を習得できるように設計されています。
③理解度テスト
また、講習修了後には、理解度テストが行われます。理解度テスト合格基準はおおよそ7割の正解で合格となります。
テスト自体はそこまで難しいものではありません。講義をしっかり聞いていれば合格することが可能です。
合格後に修了証明書が発行され、実習責任者はこれを所轄官庁に提出する必要があります。
万が一不合格となった場合は改めて技能実習責任者講習を再受講し、再度理解度テストに合格する必要があります。
最後に
以上のように、技能実習責任者は実習生を指導し、労働環境を整備するだけでなく、安全管理や生活面でもサポートが必要な責任者です。受け入れ企業は、適切な技能実習責任者の選任や育成に力を入れ、実習生とともに円滑なコミュニケーションを図り、実習生の成長を支援することが求められます。